クロノ・トリガー全曲演奏のオーケストラを堪能
先週末、ラピスドリーム・オーケストラというゲーム音楽をこよなく愛する楽団の、第10回定期演奏会を聴きに行った。
クロノ・トリガーの全曲演奏をすると知り、心待ちにしていたコンサートだけあって、心の底から感動できる時間を過ごすことができた。
楽団のホームページはこちら
ネット検索で知った時に、これは行くしかないと思い、現地での仕事も入れて経費で交通費をカバーして京都まで参戦した。(会場は京都コンサートホール。パイプオルガンまである素敵なところ。)
クロノ・トリガーのオーケストラに関しては、2年前にパシフィコ横浜で開催されたスクエニ公式コンサートにも足を運んだ。しかし、スクエニ公式コンサートは俺を心の底から絶望させるものだった。
なんと会場には巨大なスピーカーが用意されており、すべての音は収音マイクで拾われて、そのスピーカーから出てきたのである。
オーケストラは、それぞれの楽器から音が聴こえてくるからこそ良い。今どの辺にいるどの楽器を演奏している人からどんな音が聴こえているのかな?と、生の音を味わうからこそ、現場に行き、生演奏を聴く価値がある。スクエニ公式コンサートは、その点は地獄だった。こんなものを聴くぐらいなら家でスピーカーで大音量で聴いた方が快適だ。
開始5分で絶望してツイッターで愚痴っていたが、ツイッター民は「感動した!」「泣ける!」というコメントを出していてドン引きした。
オイオイ、このスピーカーからの音って、生演奏の良さゼロだぞ。オーケストラコンサート聴いたことないのか?疑問持たないのか?
そこで初めて、この層はオーケストラの生演奏を聴いたことがないのだと知った。確かにそういう層であれば、何も疑問を持たないのだろう。
自分は小中学校では、地元に東京芸大の人たちが演奏に来てくれる機会が毎年あったし、ドラクエのオーケストラの生演奏を2回聴きに行ったこともあり、スピーカーから出るのではない、本当の生演奏の良さを知っていたため、真贋を見極めることができたのである。この時、知らなければ幸せなこともあるんだなと実感しだ次第である。
2年前にその絶望を経験したため、どうしても記憶の上書き保存がしたくて仕方なかった。そこでネットでコツコツ検索していてラピスドリーム・オーケストラのコンサートの存在を知ったのである。
これだ!これなら絶対に間違いはない!と見た瞬間に悟った。
ゲーム音楽を愛する楽団が、全曲演奏をするというのだ。
この人たちがスピーカーを使うなんていうバカなマネはしないだろうし、しかも全曲ってなによ?大丈夫か?と、知った瞬間に心は踊っていた。
俺が学生時代に勉強する時のBGMはドラクエかクロノだった。現在自宅で仕事をするときもよく聴く。こういっちゃなんだが、ゲームにおける音楽はとても大事だ。心地よい音楽でなければ長く続けられない。RPGなんかは、全盛期のドラクエからプレイしてしまった人にとっては、他のゲームが「音楽が乗れないから続けられない」という人もいるだろう。
クロノトリガーの音楽の完成度は高い。
聴き込んでいくと知るのだが、メインテーマやラヴォスのテーマのエッセンスは、いろんな曲のそこかしこに組み込まれていて、知らず知らずのうちに世界に没入しているのだと思う。ドラクエの曲も「広野を行く」の旋律がいろんな形でいろんな曲に入り込んでいるが、その辺の効果を組み込めるのは神業だと思う。
そして当日、俺は心から感動した。
どの曲も珠玉のアレンジであり、クロノ・トリガー愛を感じる作品となっており、ファンとしてはたまらないコンサートだった。
千年祭のアレンジが特にお祭っぽい感じが出ていて気に入ったが、地味でマイナーに思われがちな未来や原子時代の音楽のアレンジも素敵だった。未来は特に電子的な音に慣れていたため、今回の演奏はとても新鮮だった。
原子時代はパーカッションが効いていて気持ちよかったです。ロボのテーマでは、生演奏ならではの足踏みもあり、手拍子とかが入る楽曲もあって、それぞれの曲のアレンジに本当にワクワクした。
また、風の音とか、水の音とか、あんな楽器があるんだと思うようないろんな音の工夫がとても斬新でよかった。事前にブログでの活動報告で書かれていたため、なんか変わった楽器があるぞろ思っていたが、聴いていてとても楽しかった。魔王決戦や未来の音楽で使われていたけど、どこに売ってんだ、あんな楽器?
ボスバトル1の第二バイオリンの皆さんの演奏が相当大変そうに見えたが、実際のところはどうだったろうか?うわー、すげぇキツそう!って思いながら聴いていた。
シルバードと世界変革の時は、もう少し金管楽器を利かせてもよかったかなとは思った。この辺は個人の好みだけど、ヴァイオリンを主役としているシーンが多めだったかな?
ただ「世界変革の時」は結構速いペースなので、あれを金管楽器が何回も繰り返すのはかなり酷な気もしたから、そういった事情もあったのかも。あの曲はあのペースで全体を合わせるのは相当な苦労があったのではないかと推察される。
カエルのテーマ、ガルディア城は編曲された方のセンスに脱帽。曲の良さを引き出したアレンジだった。
ラヴォスのテーマのパイプオルガンによる地響き的な演奏は荘厳。なんか席が揺れてない?って思ったのはこれだったのかと。パイプオルガンも素敵だったが、そこかしこにエッセンスを発揮していたハープもよかった。
全体を通じて、クロノトリガーは木琴と鉄琴が結構いいアクセントになっているものだとも感じた。どの楽器についても個性を引き出すアレンジは、聴く者を飽きさせないなと感心した。
そして、あまり触れられないかもしれませんが、パンフレットやウェブサイトのデザインは秀逸。カッコよかった。
パンフレットの光田先生のコメントにもあったが、全曲演奏は、本当に前代未聞の凄まじさだった。約3時間におよぶコンサートであり、聴いている方も戦い切ったというような感覚があった。
演奏された楽団の皆様にとっては正に世界変革の時!っていうぐらいの戦いだったのかもしれない。
クロノ好きな友人に「全曲らしいよ」って話した時、「それ頭おかしくない?狂気を感じるんだけど」って言われたが、これはクロノトリガーを愛するメンバーだからできた演奏だと思う。
しかもこのコンサート、無料だったのである。これは著作権の問題とかいろいろあるからなのだろうけど、それにしても太っ腹である。個人的にはこのコンサートの生演奏には1万円は軽く払えるレベルだと感じた。パンフレットも超カッコよかったし。
この楽団がクラウドアファンディングをする機会があれば俺は絶対に支援する。本当に素晴らしい演奏会だった。ラピスドリームオーケストラの皆さんには本当に感謝しかない。
11月には長男をドラクエのコンサートに連れて行ったが、これも良かった。生演奏は本当に気持ちいい。子供たちには本物に触れる機会を増やしてあげたい。いろんな感性が磨かれると思う。
